あとがき
 作中のエピソードは言うまでもなく全てフィクションです。義隆が残酷・猟奇趣味を持っていたという事実もありません。またこの小説も、残酷やグロテスクや、まして義隆、隆房の人間性を貶めることが目的ではないことを理解していただきたいと思います。筆者が書きたかったのは、ヨーロッパ文化が内包する暗黒芸術への憧れです。また、義隆・隆房・隆包はこのような性格だったのではないかという人物観を、人皮装本という邪物との対峙を通して抽象的に書きたかったのです。ちなみに筆者の中では、義隆→芸術家、隆房→ロマンティスト、隆包→常識人、という感じです。

参考資料
■福尾猛市郎「大内義隆」 吉川弘文館
■永原慶二「日本の歴史14 戦国の動乱」 小学館
■杉山博「日本の歴史11 戦国大名」 中央公論社
■海音寺潮五郎「悪人列伝 近世篇」 文春文庫
■澁澤龍彦「うつろ舟」 河出文庫
盲目の詩人にして酒盃収集家の、高野蘭亭を巡る怪奇幻想譚、「髑髏盃」収録。今作品はこの短編から着想を得て書きました。
「珍」の煮こごり
日本各地の珍所や珍書や珍品を探しつつ、フトした疑問などを追求したり諦めたり投げ出したりしているサイトです。(管理人・12v電源氏のプロフィールより)
作中に登場する人皮装本についての説話は、こちらのサイトの「珍書」カテゴリーで紹介されていたエピソードをアレンジしたものです。出典は庄司浅水「奇本・珍本・本の虫」(学風書院)だそうです。
(→
珍書:其の29 人皮装丁本
孟徳真書
中国史を愛する管理人・丞相氏が、歴史上に登場する刑罰についてまとめたサイトです。
陶隆房が弘中隆包に語った人皮鼓の説話はこちらのサイトを参考にしました。人皮鼓を作ったのは湯克寛(とうこくかん)という将軍です。嘉靖年間(1522〜66)に倭寇討伐で名をはせた人物です。
「剥皮」(はくひ・皮剥ぎ刑のこと)の項目の中で紹介されています。


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